以前住んでいた木造のアパートや戸建てでは、冬の朝になると窓ガラスが水滴でびっしょり濡れていて、毎朝の窓拭きが日課だった。
それなのに、最近引っ越したマンションでは、同じ真冬でも窓が全く曇らず、カラカラに乾いている。
「なぜ同じ冬なのに、こんなに環境が違うのか?」
「もしかして、乾燥しすぎているだけではないか?」
この劇的な変化に、驚きと共に少しの不安を感じている方もいるでしょう。
実は息子が結婚して最初に入ったマンションが正に結露しない窓だったので「なんでだろう?」と調べた経緯もあり、このテーマで記事を書こうと思いました。
結論から言うと、これは偶然ではなく、建物の「構造」と「法律」の変化による物理的な結果です。
この記事では、今のマンションが結露しない科学的な理由を具体的な数値データと共に解説し、その裏に潜んでいるかもしれない「隠れ結露(内部結露)」のリスクと、正しい湿度管理について私がネットで調べまくった内容をAI協力を得ながら出来るだけ分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 昔の家と大違い!マンションが結露しない「3つの科学的理由」
- 【数値で証明】窓ガラスが濡れ始める「温度と湿度」の境界線
- カビないからと油断禁物?乾燥の裏に潜む「隠れ結露」の恐怖
- 「北側の部屋」は要注意?結露しやすい間取りとしにくい間取り
マンションが結露しないのはなぜ?科学的な3つの理由

最近のマンション(特に鉄筋コンクリート造)が結露しない理由は、魔法でも何でもなく、単純な物理法則に基づいています。
大きく分けて3つの要因が重なり合った結果、結露が発生する条件を回避できているのです。
理由1:2003年の法律改正で義務化された「24時間換気」
最も大きな理由は、空気の入れ替えルールが変わったことです。
2003年(平成15年)7月の建築基準法改正により、原則として全ての住宅に「24時間換気システム」の設置が義務付けられました。
このシステムは、機械の力で「1時間に0.5回」、つまり2時間で部屋全体の空気がまるっと1回入れ替わるペースで、強制的に外気を取り込み、室内の空気を排出しています。
冬場の外気は乾燥しています(東京の1月の平均湿度は50%前後ですが、室温まで温めると相対湿度は20%台まで下がります)。
この乾燥した空気を24時間絶えず取り込み続けているため、室内の湿度が強制的に下げられ、結露するほどの水分が空気中に残らないのです。
理由2:窓ガラスの進化(ペアガラスの標準化)
「結露」とは、暖かい空気が冷たい物に触れた瞬間に、空気中の水分が水滴に変わる現象です。
つまり、窓ガラスの表面温度が冷えなければ、結露は起きません。
近年のマンションでは、断熱性能の高い「複層ガラス(ペアガラス)」が標準装備されています。
ガラスの断熱性能を表す「熱貫流率(数値が低いほど優秀)」を比較すると、その差は歴然です。
| ガラスの種類 | 熱貫流率(W/m²・K) | 断熱性能のイメージ |
| 一枚ガラス(単板) | 約 6.0 | ザル状態。外の冷気が 直通するイメージ。 |
| 複層ガラス(ペア) | 約 2.9 | 約2倍の性能。熱を逃さない。 |
| Low-E複層ガラス | 約 1.9 | 約3倍の性能。魔法瓶に近い。 |
古い住宅の一枚ガラス(熱貫流率6.0)では、外気の影響でガラス表面がキンキンに冷えてしまいますが、今のマンションのガラス(2.9以下)は室温に近い温度を保てるため、物理的に水滴が発生しにくいのです。
理由3:コンクリート造の「高い気密性」
木造住宅は、どうしても木材の接合部などに目に見えない隙間があり、そこから外の湿気や冷気が侵入します(隙間風)。
一方、マンションの構造である鉄筋コンクリート(RC造)は、隙間なくコンクリートを流し込んで作るため、気密性が非常に高い「魔法瓶」のような構造になっています。
気密性が高いと、外の冷気の影響を受けにくく、室内の暖かい空気が逃げません。
「壁や床の温度」自体が高く保たれるため、結露が発生する温度(露点)まで下がりにくいのです。
数値で証明!あなたの部屋が結露する境界線「露点温度」

では、具体的に「室温が何度のとき、窓が何度以下になると結露するのか」を見てみましょう。
これを「露点温度(ろてんおんど)」と呼びます。
以下は、一般的な冬の室内環境(室温20℃)における、湿度ごとの結露スタート温度です。
| 室温 | 湿度 | 結露が始まる温度(露点) |
| 20℃ | 30% | 1.9℃ 以下 |
| 20℃ | 40% | 6.0℃ 以下 |
| 20℃ | 50% | 9.3℃ 以下 |
| 20℃ | 60% | 12.0℃ 以下 |
今のマンションは24時間換気によって湿度が30〜40%程度に保たれていることが多いです。
表を見ると、湿度が30%の場合、窓の表面温度が「1.9℃」まで下がらない限り結露しません。
ペアガラスであれば、外が氷点下でも室内側のガラス表面が1.9℃まで下がることは稀です。
これが、マンションが結露しない数学的な根拠です。
ただし油断禁物!「結露しない部屋」に潜む2つのリスク
「結露しない=最高」と喜んでばかりはいられません。
結露しないということは、裏を返せば「異常な乾燥」や「見えない場所でのトラブル」が起きている可能性があります。
リスク1:人間には過酷な「過乾燥」
前述の通り、24時間換気によって湿度は常に低く保たれています。
湿度が40%を下回ると、インフルエンザウイルスなどの生存率が高まり、人間の喉や鼻の粘膜の防御機能が低下します。
「窓は濡れていないけれど、朝起きると喉がカラカラで痛い」というのは、家にとっては良くても、住人にとっては好ましくないな状態です。
リスク2:壁の裏側でカビる恐怖の「内部結露」
最も怖いのがこれです。
室内の見える部分(窓など)は結露していなくても、壁紙の裏側や、タンスの裏の壁面で結露しているケースです。
これを「内部結露」や「隠れ結露」と呼びます。
特に、断熱材の施工が不十分なマンション(角部屋のコーナー部分など)の場合、コンクリート壁の冷たさが室内に伝わり、壁紙の裏でひっそりと結露し、気付いた時には壁一面がカビだらけになっていることがあります。
「窓が濡れていないから湿気はない」と過信して、加湿器をガンガンにかけるのは危険です。
あなたの部屋はどっち?結露しやすい部屋・しにくい部屋の特徴

同じマンション内でも、部屋の位置によって結露リスクは大きく異なります。
結露しない最強の立地=「中住戸」
最強なのは、上下左右を他の部屋に囲まれている「中住戸」です。
外気に触れている面が「バルコニー側」と「玄関側」の2面しかないため、外の冷気の影響をほとんど受けません。
両隣や上下の部屋が暖房をつけていれば、それが断熱材代わりになり、部屋全体が暖かく保たれるため、結露知らずで過ごせます。
逆にここだけは注意!「北側の部屋」と「1階・最上階」
注意が必要なのは、外気の影響をモロに受ける部屋です。
- 北側の部屋: 日が当たらず壁が冷え切ってしまうため、寝室などにしていると結露リスクが高い。
- 1階: 地面からの冷気が床を冷やす。
- 最上階: 屋上からの冷気が天井を冷やす。
これらの部屋に住んでいる場合は、中住戸に比べて壁や天井の表面温度が低くなるため、同じ湿度でも結露する確率が上がります。
まとめ
マンションが結露しない理由は、24時間換気による「強制的な除湿」と、ペアガラスやRC構造による「断熱性の高さ」という物理的な根拠があります。
データで見ても、湿度が30%〜40%程度なら、窓が氷点下近くにならない限り結露は発生しません。
しかし、結露しないことは「乾燥しすぎている」ことの裏返しでもあります。
健康のためには加湿が必要ですが、やりすぎれば見えない「内部結露」を招きます。
- 湿度計を置き、湿度は50%前後を目安にする。
- 24時間換気の給気口は寒くても絶対に閉めない。
この2点を守り、高性能なマンションのメリットを最大限に活かして快適な冬を過ごしてください。
